『突然辞める社員』は、実は何ヶ月も前から決めている

これは、多くの経営者やマネージャーが経験的に知っている事実だと思います。
年末は、実は転職を決める人が一気に増える時期です。理由はシンプルで、長期休暇があるから。普段は忙しさで後回しにしていた「自分のキャリア」や「このままでいいのか?」という問いに、じっくり向き合う時間ができるからです。

この時間に、人は頭の中で静かに天秤を動かし始めます。
今の会社の「良いところ」と「不満なところ」。
そして、マネージャーとして私たちは心のどこかでこう願います。
「うちの会社の“良いところ”の方が多いはずだ」と。

でも、正直に言うと――
希望は戦略ではありません。

では、手遅れになる前に、私たちは何ができるのでしょうか。

実際に人が辞める理由はたくさんありますが、特に強いものは、だいたいこの3つに集約されます。

まず 将来。
この会社に、自分の未来が見えるか。
ポジションは上がるのか、給料は上がるのか、次のステップは何なのか。
「ここで3年後、5年後、自分はどうなっているのか」を説明できない状態は、想像以上に不安を生みます。

次に メンタル(心理的安全性)。
意見を言ったら怒鳴られないか。
正直に話したら評価が下がらないか。
ミスをしたら、責められるだけなのか。
人は「正しさ」よりも「安心」を優先します。安心できない場所に、人は長く留まりません。

そして 環境。
会社が提供している働き方は、自分の望むライフスタイルと合っているか。
子育てとの両立、通勤時間、リモートワークの有無、オフィスの清潔さ、オフィス移転の距離。
一つひとつは小さく見えても、積み重なると大きな差になります。

もちろん、これ以外にも理由はあります。
期待値が現実とズレていた人、フィードバックに耐えられない人、環境に甘えすぎる人。
その話はまた別の機会に。

ただ、今の日本は明らかに「人が足りない社会」です。
仕事の数は多く、選択肢も多い。
「5年間、我慢すれば報われる」という前提は、もう多くの人に通用しません。

では、他の会社は何をしているのでしょうか。

優れている会社ほど、「辞めたい理由」を探すのではなく、
「辞める前のサイン」を拾おうとしています。
1on1でキャリアの話をする。
評価だけでなく、感情の状態を確認する。
働き方や環境の変化を、事前に説明する。
完璧ではなくても、「話せる空気」を作る努力をしています。

最後に、今日からできること。

・将来について、具体的に話していますか?
・安心して本音を言える場はありますか?
・環境の変化を「決定後」に伝えていませんか?

「突然辞める」は、本人にとっては何ヶ月も前から始まっている物語です。
それを“突然”にしているのは、往々にして私たちの側です。

この年末年始、ぜひ一度、メンバーと「仕事の話」ではなく
「これからの話」をしてみてください。

皆さんの周りで、「辞めます」の前に「実は…」という会話が生まれることを願っています。
良い年末年始をお過ごしください。

ドリー